会長サマと、夢と恋。
「俺の教え方が悪いのか、不安になる」
「会長の説明は悪くないです〜……。悪いのは、」
「ああ、お前の頭か」
「‼︎」
会長の教え方は、わかりやすいんだと思う。
まるで塾の先生みたいだ。会長自身、頭がいい人なんだなぁ、ってわかる。
悪いのはその「声」だって、言うよりも早く、いつもの毒舌。
「とりあえず、二週間後は期末テストだからな。そこまでにはどうにかしたい」
「どうにか、って……」
「具体的に言うと、五十位以内」
「はい⁉︎」
生徒会に関わる人間としてそのぐらいの順位は当たり前だ、と言った岸会長に、気が遠くなる。
(百七十二位が五十位以内だなんて、無理に決まってるよ……)
そう思うのに、目の前の岸会長は、きっとやる気だ。
「暗記教科に的を絞るぞ。それから、数学も英語も暗記だと思え」
「はい……」
わたしが渋々返事をすると、会長はうなずいて。
「よし、次。どんどん詰め込むぞ」
嫌だ、とか帰りたい、とか考える間もなく、ひたすら勉強を教えてくれた。