会長サマと、夢と恋。
ちらりと横をを見上げると、会長は冷たい雰囲気のまま、小さくため息をついた。
「……悪い。なんか嫌なこと言われたか?」
「い、いえ……。大したことないですから」
「本当か?」
じっとわたしの目を覗き込んでくる会長に、また心臓が跳ねる。
さっきの言葉、あの場をやり過ごすためだとしても……すごくかっこよかったなぁ。
「……川西に聞いたけど、お前と俺のこと、地味にウワサになってるらしい」
「え? なんか、ごめんなさい……」
「生徒会の仕事はともかく、校内での勉強会はもうやらないほうがいいかもな」
今だって、図書室にいる人たちがチラチラこっちをみてくる。
少しだけ騒いじゃったから、わたし達が悪いんだけど……。
もう会長に勉強を教えてもらうことはできないのかな、って思ったら寂しくて、俯いたら。
「何ぼーっとしてんだよ。行くぞ」
「えっ⁉︎ 行くって、どこに……?」
手を引かれるまま図書室を出たわたしに、振り返った会長は……ニヤッと笑って言った。
「勉強するなら、うってつけの場所があるだろ」