会長サマと、夢と恋。
「か、会長って……」
「ん?」
キスできてしまいそうなぐらい顔が近くにあるのに、会長はしれっとした様子。
なんだか悔しくて、その目をじっと見つめてみた。
……すると。
「……見すぎ」
頬を赤くした会長が、パッと目を逸らした。
耳まで赤いように見えて、びっくりする。
「もしかして……照れました?」
「は? そんなわけ……」
どこか歯切れの悪いような感じの会長は、ゆっくりとわたしから体を離した。
「勉強! やるぞ!」
勢いのままペンを持って机に向かい始める会長は、いつもの余裕がなくて、なんだか知らない人みたい。
「お茶、持ってきますね」
「……おー」
こっちを見ないまま空返事をした、会長が。
「……我慢するこっちの身にもなれっての」
小さくそう呟いていたなんて、わたしは気づかなかったんだ。