会長サマと、夢と恋。

「でも陽菜子ちゃん、だいぶ覚えたねぇ。相当頑張ったんじゃない?」

「川西先輩……」

「まだまだ。あと一週間だぞ、最後の詰め込みだ」

「うわー、岸くん鬼〜」

会長たちに出会う前、中間テストのときの自分と比べたら、相当頑張っていると思う。
もっと褒めてくれても……なんて考えていると、生徒会室の扉があいて、それまでいなかった長沢先輩が入ってきた。

「……岸くん、川西くん。文化祭の件でクラス全員集合みたいよ」

「ああ、そんなこと言ってたっけ? 今日のHRでも決まんなかったもんね」

「面倒だな。……俺は会長業務が忙しいということで」

「ダメだよ、今は資料作成してるだけだから連れてくる、って言っちゃったもの」

長沢先輩の言葉に、岸会長はため息をついて立ち上がる。

「……終わったら、今日は先に帰ってろ」
「はい」

岸会長と川西先輩は、しぶしぶといった感じで生徒会室を出て行く。
長沢先輩が、振り向きざまにチラッと私を見たのがわかった。

……会長と副会長がいなくなって、一気に静かになった生徒会室。すると、現在庶務の二年生、七瀬由依先輩が口を開いた。

「……あの二人って、前に付き合ってたって本当ですか?」
え? あの二人って……。

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