会長サマと、夢と恋。
「……もしかして陽菜子ちゃん、今の話で動揺しちゃった?」
「‼︎ い、いえ、そんなこと」
「てか、大丈夫? 岸くんにひどいことされてないよね?」
篠塚先輩と七瀬先輩は、心配そうな目をこちらに向けてくれる。
長沢先輩以外の女子の先輩は、すごく優しい。
「あの岸くんが女の子連れてくるなんて、一体どんな弱味握られたのかな、って思ったけど……、マンガアニメ同好会を継続させたいんだっけ?」
「はい……」
「頑張ってね。陽菜子ちゃんの生徒会入り、応援してるから!」
「え、えっと、はい?」
なんだか完全に生徒会に入る流れが出来上がってきてる?
……わたし、どうしたいんだろう。
生徒会の雑用は楽しいけど、それは「責任」がないからかもしれない。
それに、このモヤモヤはなんだろう。
「岸会長と長沢先輩が付き合っていた」という話を聞いてから、胸の奥がずっしりと重い。
『夢にでてきて、好きになっちゃうことってあるよねぇ』
ふと、お昼にミナミが言っていたことが頭をよぎった。
好き? こんな単純なことで? まさか、会長に恋、だなんて、そんなこと。
あっていいはずがないのにー……。