会長サマと、夢と恋。

次の日の昼休み、お弁当を忘れてしまった私はアキと購買に来ていた。

 入学してから毎日お弁当を持たせてもらっていたので、購買を利用するのは初めてだけど……結構混んでる。

「あ、すみませ……」

 人であふれているフロアで誰かの足を踏んでしまったような気がして、とっさに謝る。振り向くと、そこにいたのは。

「……橋本さん」
「な、長沢先輩……」

(よりによって、長沢先輩の足を踏んじゃったなんて!)
 他の人なら良かった、ってわけじゃないけど、それでも悪い偶然だと思う。

「す、すみませんでした、購買、慣れてなくて」

 とんでもなく不機嫌そうな長沢先輩に見おろされ、気まずい雰囲気。
どうしよう、これ、許してもらえたのかな。そもそもワザとではないし……。

「あ、あの、」

「橋本さん、昨日の放課後、岸くんと一緒にいた?」

「‼」

 人込みから一歩離れたところで、長沢先輩に問い詰められる。
何も言えないわたしの態度でバレてしまったのか、先輩はさらにムスッとした表情になった。

< 54 / 177 >

この作品をシェア

pagetop