会長サマと、夢と恋。
06.会長と、自覚。

テスト前とテスト期間中は、生徒会の活動も禁止らしく、学校内で会長に呼び出されることはなかった。
でも、そのかわり……。

「あら、岸くんいらっしゃい! 陽菜子の勉強みてくれてるんでしょ? よろしくね~」

「こんにちは。いつもお邪魔しちゃって、すみません」

すっかり母とも馴染んでしまった会長は、当たり前のように我が家へやってくる。

「いいのよ、いつでも大歓迎! あら……?」
そして今日は、会長の他に、もう一人。

「はじめまして! 岸くんの友人の川西といいます。陽菜子ちゃんとも、仲良くさせてもらってます!」

会長の後ろから顔を出したのは川西先輩。
前々から「俺も陽菜子ちゃんの家行きたい!」って言ってたんだけど、「お前が来るとうるさいからダメだ」と会長が拒否していた。

しかし、川西先輩も案外すごく勉強ができるタイプではないらしく、「今回のテストは結構まずい!」と言って、ようやく会長の許可をもらったみたい。
……会長の許可って以前に、ここ、わたしの家なんだけど……。

「あらー、あなたもまたイケメンね! 陽菜子の周りはいったいどうなってるのかしら」

「陽菜子ちゃんが可愛いからですよ。あ、今日おじゃまするお礼に、これ」

川西先輩はケーキの入った箱を差し出して、にっこり微笑む。
川西先輩から前もって聞かれていた、母の好きな洋菓子屋さんのものだ。

「……陽菜子、どっちと付き合うつもりなの? お母さんは選べないわ〜」

「ど、どっちも、そんなんじゃない! てかなんでお母さんが選ぶの!」

愛想のいい川西先輩に、母はこれまたノックアウトだ。
「仲がいいんだねぇ」と笑う川西先輩と、もう我が家のように二階のわたしの部屋に向かう岸会長。

そんなこんなで、三人での勉強会が始まったんだけど……今日はなんだか緊張する。

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