会長サマと、夢と恋。

「……」

放課後の生徒会室。
そこで恐る恐る差し出した、順位表。

それを見た会長の眉が、思いっきり歪んだのがわかった。


その週のうちに全ての教科の答案が返ってきて、週末には学年順位が発表された。

わたしの結果は、学年200人中、……65位。
目指していた「50位以内」には届かなかった。

だけど、前回172位だったことを考えると、大躍進だ。
担任の先生もびっくりしていた。苦手な数学だけは平均点を少し下回っちゃったけど、他は平均点越え。これであの「―30点」がなければ、50位以内に入っていたかもしれない。

「あ、あのー……」

「……これ、現国。どうした」

「‼︎」

さっそく指摘されて、体が跳ねる。

「お前、現国得意だろ。俺が教えなくても充分だったぐらいに」

さっそくバレてる。
……でも、わたしが得意なことを認めてもらえてるみたいで少し嬉しい。

じっと見てくる会長の表情は、なんだか心配してくれてるみたい。
実際の原因は、自分の見直し不足。くだらない理由でごめんなさい。説明しようと口を開いたそのときー……

「……でもまあ、たまに調子悪いこともあるか。それより、順位は正直、想像以上だ」
「……え?」

岸会長の予想外の言葉に、目を見開く。
(怒って、ないの?)
会長は怒るどころか、少し微笑んでる。

そして、わたしに順位表を返すと、

「よく頑張ったな」

と言って、わたしの頭をくしゃりと撫でた。

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