会長サマと、夢と恋。
「かっ、川西先輩っ」
「なんか校内でよく会うね。なにしてるの?」
「えっと、とにかく、隠れてください!」
会長に見つからないよう、川西先輩の手を引いてフロアに出て、空き教室へと二人で入る。
……会長は気づくことなく、そのまま階段を降りていったみたいだ。
「陽菜子ちゃん、大胆だね〜」
「えっ、……⁉︎」
気づいたら川西先輩の腕をぎゅっと握っていて、ここは二人きりの教室で。
「ごっ、ごめんなさい‼︎」
「ドキドキしちゃうじゃん、そんなことされたら」
慌てて手を離したら、先輩は顔を隠しながら照れたふりして笑っていた。
(女子と接するの、慣れてるくせに……!)
「で? なんで逃げてきたの? ……あ、もしかして岸くん?」
「‼︎」
言わなくても、だいたいの事情は察してくれるのが、川西先輩の凄いところだ。
「また何か言われた? そういえば、昨日はごめんね。うまくフォローできなくて」
「い、いえ……」
「まさか陽菜子ちゃんが、そんな冗談言うとは思わなくて」
「えっ」
冗談。それってあの、告白のことだよね。
「……やっぱり、冗談に聞こえましたか?」
わたしが恐る恐るそう聞くと、川西先輩はびっくりしたように目を見開いた。
「……もしかして、本気だったの?」
そう聞かれて、言葉に詰まる。