会長サマと、夢と恋。
「……わたし、岸会長が生徒会長だからとか、頭がいいから好きになったわけじゃないです」
「……お前、」
「ちょっと優しくされたから? ……むしろ会長は基本冷たいのでそんな理由でもないです」
「おい……なんなんだ、さっきから」
「わたしは、」
会長をじっと見ると、眼鏡の奥の瞳が少し揺れてるのがわかる。
恥ずかしい。でも、目をそらさないで伝えたい。
「岸会長のことが好きで、その気持ちは本当です。……告白、なんて生まれてはじめてしました……」
「……」
「だから、わたしの気持ちを、勝手に“勘違いだ”って、なかったことにはしないでください」
夕日が差し込む生徒会室。
じわりと蒸し暑くて、気温と一緒に体温も上がってるみたいにドキドキしている。
「……わかったよ」
はぁ、とため息をついた会長は、呆れたみたいに少し笑った。
「でも俺は、少なくとも生徒会長であるうちは誰とも付き合う気はー……」
「はい、わかってます! 会長と恋人同士になれるなんて、思ってません」
今のわたしが、岸会長に釣り合うはずがない。
もっと、自分に自信をつけて、そのときに改めて会長に告白したい。
だからと言って会長がわたしを好きになってくれるとは思えないけど、何もしないよりマシだよね。
そのためにはー……
「これからも、わたしに勉強を教えてください。次は50位以内に入ります!」
会長と決めた目標の順位。
マンガアニメ部の存続。
それを達成できたら、「頑張った」って胸をはって言えそう。
(生徒会庶務、目指してみようかな……)
きっかけは、単純でも。
自分でやりたいことを見つけられたら、きっとそれは「成長」だと思う。