会長サマと、夢と恋。
「……なんかお前、最初と変わったな」
「え?」
「『無理』とか『嫌だ』とかばっかり言ってたろ。それが今は、自分から頑張る気になってる」
いい変化だな、と優しく笑って言ってくれた会長に、嬉しくなる。
そして、やっぱりこの人のことが好きだと思ったんだ。
「……てかお前、いいところに来たな?」
一通り話を終えて、黒い笑みを浮かべた会長がわたしの前に紙の束を差し出した。
「……会長?」
「いやー、今日は書記が二人とも捕まらなくて困ってたんだよ。これ、Wordで打ってくれ」
「えっ⁉︎ この量を⁉︎」
会長の雑用としてこき使われ、そして勉強を教わる、いつもの日常。
それが無事戻ってきて、ホッとする。
今はまだ、この関係が楽しくて、心地いい。
「……」
会長とのわだかまりが溶けて、少し浮かれていたわたしは。
生徒会室の扉が少し開きっぱなしで、そこから長沢先輩がこちらをのぞいていたことに気づかなかった。