無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。
うちは3階建ての5LDKという、周りよりは少し大きめの家に住んでいる。
それも、私のお父さんが印刷会社の社長をしているおかげ。
小さいころから不自由なく生活をさせてもらっている。
1階にはリビング、ダイニング、キッチン、お風呂とトイレがあり、2階には3部屋、3階には2部屋と大きなバルコニーがある。
階段を上がって左に瑠月の部屋、その隣に私の部屋、その隣が空き部屋になっている。
2階にある3部屋はすべて8畳で、1人部屋としては広々と使える。
「この部屋を好きに使ってください」
その部屋のドアを瑠月が開け、私と柊木善もゆっくりとそのあとに続いた。
「わかった」
「あのー……、柊木くんは一緒に暮らすのが私たちだってわかってたんですか?」
瑠月が単刀直入にそう聞くと、柊木善は当たり前のような顔でうなずいた。
「凛李と瑠月なんて名前めずらしいからな」
「じゃあ、刀夜はこのこと知ってるの?」
「今日言った。でも、俺が友達の彼女に手出すほど女に飢えてないの知ってるから心配してないと思うよ」