無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。


顔を傾けているから前髪が顔にかかり、そのすき間からのぞく目と目があってしまい……思わず息を止めてしまった。



「もう付き合ってるんだし、一緒にお風呂に入っても変じゃないと思うよ」

「……そういう問題……ではないと思うんだけど……」

「なんで? 凛李は俺と入るのいや?」

「……いやとか、いいとかそういう問題じゃなくて……」

「いやじゃないってことは、入ってもいいと思ってるんだね」

「え……っ⁉︎ は⁉︎ え⁉︎」



完全に善の手の上で転がされてしまった私。
そんな焦る私を、おもしろがるように片方の口角を上げて覗き込んでくる善。



「焦ったかわいい凛李を見れたから今日のところは我慢しとく。凛李、先に入っていいよ」



善はそう言って小さい子にするように私の頭をポンポンと叩き、私の返事も聞かずに2階に上がってしまった。

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