無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。
「麦茶持ってきた。飲んで」
この一瞬で判断して私のために麦茶を持ってきてくれたらしい。
……なんてできる彼氏なんだ……。
そう感心しつつ起きあがろうとするが、まだ目がチカチカして上手く起き上がれない。
「……起きれなそう?」
「うん、せっかく持ってきてくれたのにごめんね……」
私としたことが、付き合ったその日にこんな醜態をさらしてしまうなんて……。
穴があったら入りたい、とはまさに今この瞬間のことだ。
私は視界がぼんやりしながらも善のほうを見る。
すると、善はコップを一旦洗面所の空いてるところに置き、その次に私の背中を片手で優しく持ち上げて自分の胸に寄りかからせた。
私は突然の密着におどろきとドキドキでプチパニック。
な、なに……っ⁉︎
そんな私をよそに、善は再びコップを手に取ると麦茶を自分の口へと運び、コップを洗面所へと置いた。
頭上で行われる光景に、ただただ見惚れてしまう。