無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。
「じゃあ、お願いしようかな……。その代わりきれいに乾かしてよね」
「わかった」
善の押しに負けた私は、仕方なく善に髪の毛を乾かしてもらうことにした。
善がベッドに座り、私はその前の床に座った。
私は自然と大きく開いた善の脚の間にすっぽり埋まることになり、まさかの現状に早くこの時間が過ぎてほしいと心から願ったーー。
しかし、善は私が想像していたよりも時間をかけて丁寧に髪の毛を乾かしてくれた。
手ぐしで髪の毛をとかしながらそこにドライヤーの風を当ててくれるんだけどーー。
ただ真面目に乾かしてくれてるのはわかってるよ?
わかってるんだけど、どうしても全神経が私の髪をとかす善の指に集中してしまう。
これは私がおかしいの?
意識すぎ?
なんだかすごく……脈も早くなってる気がする。
「もういいよ!」
ドライヤーの音にかき消されないように大きな声でそう言う私に、「まだ後ろが濡れてるから」と言って手を止めない善。
この際もう完全に乾いてなくてもいいのよ。
これ以上この時間が続くと、私の心臓がどうにかなってしまいそうなんだってば……。