無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。
「今日はもう疲れたから寝るねっ。じゃ、おやすみなさいっ」
私はそう言って無理矢理善を立ち上がらせ、背中を押してドアまで誘導した。
「さっきの髪乾かした女の子って、いとこのことだよ。しかも、小学校低学年のとき」
ドアの目の前に来たところで、善が突然そんなことを言い始めた。
私は思わず善の背中を押す手の力を緩める。
「まず、凛に出会うまでは女なんてめんどくさい生き物としか思ってなかったから。まだ一緒にいたいって思ったり髪の毛乾かしたり、そうやって尽くしたことなんてない」
「……っ」
「ちょっと妬かせてみたくてうそついちゃった、ごめんね?」
私に目線が合うように首をかしげて私の目をジッと見つめてくるあざとい善。
私に会うまでは女の子のことをめんどくさいと思ってたとか、まだ一緒にいたいとか……そんなの聞いたら許さないわけにはいかないでしょ。
「いいよ……別に怒ってないから」
「えー、でも妬いてたのは認める?」
「……妬いてない」
「100%妬いてたよ」
「妬いてません」
「……ま、そんなすぐに素直にはならないか」