無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。

まだ我慢してたほうがいい?



善と付き合ってから1ヶ月ほどが経った……。

私はまだ善の彼女だと胸を張って言えず、周りには隠したまま。

もちろん仲の良い紀衣ちゃんには、文化祭明けの学校でこっそりと報告した。
周りに気づかれないようになるべく抑えて喜んでくれた。


季節は完全に夏から秋へと移り変わり、白のYシャツの上にベージュのブレザーを着ないと外を歩けないほど肌寒くなってきた。



そんなある日の放課後ーー。

テスト期間ということで、学校は午前中で終了した。

しかし、お母さんは買い物へ、瑠月は刀夜くんとデートへ行ってしまい、必然的に家には私と善の……2人だけ。


3日後にはテストで、善が勉強を教えてほしいと言うので、お昼ご飯を食べたあと善の部屋で勉強をすることになった。

善はなんでも器用にこなしそうなのに、意外にも勉強が苦手らしい。

とりあえず勉強道具を一通り持って善の部屋のドアを叩くと、「いいよー」と中から善の声が聞こえた。

「お邪魔しまーす……」と言いながらドアを開け、善の部屋へと足を踏み入れる。
……そういえば、善と一緒に暮らすようになってから善の部屋にちゃんと入るのは初めてかもしれない。

善が初めて家に来たときに案内して以来、この部屋には入ったことがない。


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