無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。


「入るよ……っ、お邪魔します」

「俺がこの部屋借りてるほうなのに、なんで凛李が緊張してんの? ははっ……」



私が緊張してることを見抜いたらしく、善はめずらしく口を手で隠しながら声を出して笑った。

クシャッとなる善の目元を見て、かわいいと思ってしまった。

……彼氏を相手にかわいいって……やっぱり今日の私はいつもと違う……。
しかも、それが善にバレてる……完全にバレてる……!



「どこがわからないの……?」



平然を装うためになにごともなかったかのようにテーブルを挟んで善の前に座り、テーブルの上に自分の勉強道具を置いた。

勉強モードに入れば自然とこの緊張も解けるはず。
善が近くにいようが関係ない。



「そこに座るの?」



……なのに、この男ときたらキョトンとした顔で私のことをジッと見つめてくるじゃないか。

さっさと勉強モードに入りたいのに……っ。

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