無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。

「勉強を教えるなら普通目の前に座るでしょ」

「個別の塾とか、家庭教師はとなりで教えてくれる」

「たしかにそういうところもあるよね……」

「……」

「……」



それ以上はなにも言わずに、私の顔に穴が開きそうなほど私のことを見てくる善。

え……?
まさか、となりに来いってこと……?



「移動、しろってこと……?」

「凛李からちゃんと勉強を教わりたいんだよ。そのためには近くにいてもらわないと」



なるほど、それも一理あるかも。

……善の口のうまさにまんまと騙された私は善に言われるがまま、善の右どなりに移動した。

そういっても、横幅は2人が座ってギリギリ収まるくらいしかないから、となりに座るとどうしても腕が当たってしまう。

いやいや、こんなことを気にしてる場合じゃない。
善が真面目に勉強を教えてほしいって、私から学びたいって言ってくれてるんだから、余計なことを考えずに真剣に向き合わなきゃーー。


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