無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。

善がわからないところを1つずつ教えることにした。
数学が1番苦手だというので、公式を教えてひたすら計算問題を解かせた。

善がものすごく集中して真面目に勉強している姿を見て、私はまた新たな善を知ることができたから、密かに喜んでいた……。



途中休憩を入れながらも1時間半ほどが経ったころーー。


私がさっきまでと同じように善のノートに公式を書いて教えていると……突然、私の背中を善が指でなぞってきた。

思わず、「ひゃ……っ」と変な声が出る。



「なっ、にするの……⁉︎」

「そこに背中があったから」

「……ふざけないで、あとちょっとで終わるから」



私がそう言うと、善はさらに私に近づいてきて……。



「あとちょっとってどのくらい?」

「ちょ、ちょっとはちょっと……!」



善は私の耳元でわざとささやくようにしゃべってくる。

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