無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。
「さっきからずーーっとお預けくらってるんだけど、そろそろよくない?」
「……お預け?」
「わかんない? 我慢してんの」
善は低く甘い声でそう言ってーー私の上唇に自分の指を押しつけてきた。
それと同時に、今までないくらい私の鼓動が速くなる。
善は私の唇に触れた人差し指で自分の唇を触った。
私はいやでもゆっくりと動く善の指を見てしまい、善の唇に触れた瞬間……言ってる意味がやっとわかった。
というか、わかってしまった。
一気に上がる体温。
すぐに触れられるほど近くに座っている事実を再び思い知らされる。
善は机に腕を伸ばして上半身をつけ、私のことを見上げる……。
「キスしたくてしたくてたまらないんだけど、まだ我慢してたほうがいい?」