無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。
善はどこか寂しさを含んだような言い方で、ベッドで横になったまま私のことをジッと見てくる。
そんな言い方されたら断りたくても断れない……ずるい、ずるい、ずるい。
「……わかった。けど、さすがに唇は難易度高すぎるから、ほっぺね」
結局私は善の押しに負けてしまった。
それなのに、ほっぺにキスされるたび不服そうな顔をする善。
もうそんな顔をされても流されないぞ。
これが今私のできる最大の挑戦なのだから。
そして、ご褒美つきの勉強が再開されてから40分が経過したーー。
最後の問題を解き終わり、私が丸つけをする。
なんと、今日教えたところすべて正解。
「やったー!」と、教えていた私もうれしくて、興奮のあまり善に抱きついてしまった。
「ご、ごめん……っ、うれしくて……」
恥ずかしくなってしまい、私は善から離れた。
「俺も抱きつきたいくらいうれしいよ。数学をここまで真剣に勉強したの人生で初めてだし、凛李が教えてくれたから覚えられたんだと思う」
「それならよかった……」
「じゃあ、最後のご褒美もらってもいいかな」
そう言って善の指がさしたのは……善の唇。