無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。

「次はここ」

「ほっぺでいいって言ってたじゃない……」

「最後までちゃんと頑張ったんだけどなぁ、最後は全問正解だったんだけどなぁ」

「……」

「これで凛李が唇にしてくれたら、この先も勉強を頑張れそうな気がするんだけどなぁ」



生まれながらにしてあざとい人っているんだなと今この瞬間実感した。
どう言えば、どう甘えれば私がいうことを聞いてくれるかを完全にわかってる。

こればっかりは本を読んだり誰かに聞いたりして勉強したところで、実行できることじゃない。

善の身体に、神経に、遺伝子にあざとく振る舞うことができるなにかが流れているとしか考えられない。
計算してるような感じもないし、演技っぽくもない。

……これは、善のありのままの姿なんだ。


それにしても、久しぶりの2人きりだからってなんだか今日の善は意地悪な気がする……。
そんなに私が困ってる姿を見て楽しいの?

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