無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。
瑠月が「なんのバイトしてるの?」と聞くと、刀夜くんが「どっかのカフェらしい」と答える。
「どこで働いてるのか刀夜も知らないの?」
「俺らがからかいに来るのが嫌だからって教えてくんねぇの」
「なるほどね〜柊木くんっぽいね」
「だろ?」
「きっとお姉さんたちにモテモテだろうね」
「だろうな〜。それにしても、いつ体調崩さないか心配だわ」
「そこまでして働かなくても、お金には困らなそうなのにね」
瑠月と刀夜くんの話を横で盗み聞きする私。
柊木善のことなんてどうでもいいはずなのに、聞いてしまう。
そういえば、私の両親もそこそこお金を持っているほうだが、その両親に聞いた話だと柊木くんの家もなかなかのお金持ちらしい。
それなのに、そこまでバイトをする意味なんてあるの……?
「善は自立したいんだってさ」
刀夜くんがボソッとつぶやく。