無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。
恥ずかしすぎるワードに、一瞬で体温が急上昇する。
「なっ、なな、なにが……っ」
「わかってるくせに」
「……っ」
「気持ちよさそうな顔してたよ」
善はそう言ってニヤリと笑う。
「してるわけ……っ」と、私が最後まで言い終える前に「はい。じゃあ、続きを教えてください先生」と、教科書を開き始めた善。
突然の切り替えに思考が停止した。
「勉強するの?」
「もちろん。最後のキスもできたし」
「……っ」
「もしかして、もっとしたかった?」
「そ、そういうわけじゃない……っ」
「だよねー、じゃ、ここからは勉強モードに入るからよろしく」
善はそこから本当に真面目に勉強に取り組んだ。
キスをする素振りもなく、甘い言葉もない。
……これでいいはずなのに、なぜか私の心の奥に寂しさが残った。