無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。
キスなら……いいよ
私からの"しばらくはスキンシップをとるのを控えよう"という提案を受けいれてくれた善。
本当にその夜からその約束を守ってくれて、テスト最終日までは挨拶くらいしか話さなかった。
テスト勉強に集中したかったし、バレてしまうかもという不安もなくなったし、ストレスなく過ごせたと思う……。
テストが終わった次の日からはさっそくテスト返しが始まった。
初日は数学と英語が返され、善の数学の点数はどうだったのかなと頭をよぎった。
コンコンーー。
学校から帰ってきて善の部屋のドアを叩くと、「はーい」と気だるそうな声が聞こえた。
ゆっくりとドアを開け中をのぞくと、善はベッドに横になり漫画を読んでいた。
「数学の点数どうだった……?」
「めっちゃよかったんだよ……! 見て!」
善は目を大きく見開いてうれしそうにそう言いながらベッドから起き上がり、カバンの中からテストを1枚取り出して私にそれを見せてきた。
名前が書いてある横には【70点】と書かれている。