無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。
「すごい! 70点もとれたんだね!」
「こんな点数とれたの初めて。凛李の教え方が上手だったからだよ」
「そんなことないよ。善が努力した結果がこうして表れたんだよ」
「んー、でも、がんばれたのは凛李のおかげだと思う」
「え? 私?」
どうして私……?
そう疑問に思いながらも、ベッドからゆっくりと起き上がって私のほうに近づいてくる善のことをボーッと見ていた。
「軽いハグなら、いいんだよね?」
私と1メートルほど距離をおいて止まった善は、両腕を広げながらそう聞いてきた。
これは、今から軽いハグをしようとしてるということかな……?
私がのんびりと状況把握をしている間にも善は私との距離を縮めてきていてーー私が返事をする前に、私は気づいたら善の腕の中にいた。
「……凛李、ありがと」
そして、善は私の耳元でそう優しくささやいてきた。