無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。
「凛李に触るの散々我慢してたんだから、今日は待たないよ」
そう言って善はさらに私をキスの深海へ……深い深い場所へと落としていった。
約束を受け入れてくれたときは、なにも考えていなかった。
ーーこの禁止令が解けたときのことを。
とりあえず私と善が付き合っているということがバレなければそれでいいと思っていた。
私としたことが……。
何事も計画的に進めないと気が済まないこの私が。
どうしてこんな大失態を……。
まぁ、過ぎたことを後悔してもしょうがない。
そもそも、善という人を好きになってしまったこと自体が計画していないことなんだ。
善のことになると思考がうまく回らないし、不思議と流れに身を任せてもいいかなと思ってしまう。
「も……だめ……」
「ギブアップ? ならしょうがないか。じゃあ、また明日しようね」
久しぶりのキスをして、いったいどれだけの時間が過ぎたのだろう。
それすらも把握できないほどに、私の頭の中は善のことでいっぱいになっていた。
呼吸を整える私と違って、善はいつもと変わらない顔で平然としている。
その顔を見ていたら……さすがに、なんでもかんでも身を任せるのは危険だなと悟った。