無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。
ネクタイは、こうすんの
善はこの日バイトだったため、家に帰ってきたのは9時半を過ぎたころだった。
「善くん、その怪我はどうしたんだ?」
私は自分の部屋で明日の授業の予習をしていた。
そんなときに突然お父さんの声が聞こえ、私の体は反射的に動いた。
急いで階段を駆け下り玄関へと向かった。
玄関には立って話している善とお父さんの姿があり、善が自分の手を見せていた。
「どうしたの……?」
あんまり過剰な反応をするとお父さんに付き合っていることがバレかねないので、私は極力声のトーンを落として平然を装った。
「バイトで段ボール開けようとカッターで切ってたら勢い余って手も切っちゃった」