無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。
「バレないようにはするけど、キスしないのはやっぱり無理。凛李のこと見るとキスしたくてしょうがなくなる」
「……なっ、ちょ……っ」
あたりをキョロキョロと見渡し、反射的に誰かいないかを確認してしまう。
この人はオブラートに包んで言うとか、場所を考えるとかできないの……⁉︎
……と思ったけど、自分のしたいことはする精神の善がそんな気遣いできるわけなかったとすぐに悟った。
「じゃあ、100歩譲ってキスはいいとするよ。でも、こういう玄関とかはやめてほしい」
「わかった。したくなったら部屋に運ぶね」
「え?」
「キスはいいよって凛李が言ったんだよ。なら、もう我慢しないから」
そう言って目を細めにっこりと笑う善。
「まだ夜ご飯食べてないから食べてくる。凛李は?」
「私は、部屋で勉強してくる……」
「わかった。勉強もほどほどにね」
善は私の頭を優しく撫でて、私を置いて本当にリビングにご飯を食べに行ってしまった……。