無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。
キスって恋人同士でするものじゃないの?
そもそも、彼女じゃないけどキスする関係ってなに……?
友達でもなければ恋人でもないって……私には到底理解できない。
「あ、これから付き合うかもしれないってこと……?」
「彼女とかめんどくさいからいらない」
「……好きでもないのに、キスしたの?」
「うん」
恋愛に興味なんてないし、これからしたいとも思わないけど、恋愛ってこういうものかなという考えくらいはある。
その考えが今、一瞬で崩されたような気がした。
「バイト頑張っててすごいなぁって思ってたのに……」
「……」
「結局、無気力装ってるだけでいろんな子と遊んでるんだね」
「……」
「がっかりした」
私は柊木善を見上げる。
彼は眉間にシワを寄せ、私の腕をつかんで自分の部屋へと無理やり引っ張った。
バタンッーーと大きな音を立て、ドアが閉まる。