無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。
「……凛李……?」
しかし、善の少し驚いたような声で我に返った私は、すぐに善から離れた。
私、今なにしてたの……⁉︎
上半身裸の善に自ら抱きついてた……⁉︎
わかっているのは、私の意思ではないということ。
体が勝手に動いていたのだ。
私の脳の指示ではない。
……だとしても、なんていうことをーー。
「じゃ、じゃあ、これでボタンも外れたし大丈夫だよね。私は部屋に戻ります……っ」
1秒でも早くこの場から去りたい私は善に背中を向け脱衣所の扉に手をかけた。
ーーが、顔の横に善の両腕がきて身動きがとれなくなってしまった。
左手は指をかばって、握りこぶしで扉に触れている。
「こんなことされて、部屋に戻せると思ってんの?」
すぐ後ろから善の低い声が聞こえて、私は動きを止めざるを得ない。