無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。
私が言えるのはこの心臓がドキドキしすぎてどうにかなってしまいそうな状況から脱出するための言葉。
ーーしかし、それは遮られてしまった。
ゆっくりと善の顔が近づいてきて、再び私たちの唇が重なったからだ。
そのあとのことは恋愛をしてきた人ならだいたい想像がつくだろう。
甘え上手なあざとい男子から、獲物を狙うオオカミ男子へと変貌をとげた善は、私をいとも簡単に甘い世界へと連れていった……。
唇が触れるたびに善から"好きだ"と言われているみたいだった。
それに応えるように私も善のキスについていった。
キスをしている途中、不意に目を開けた瞬間……善と目が合った。
「今、俺らめちゃくちゃ愛しあってるね」
唇を離してそう言う善は意地悪な顔をしていた。
それなのに、私はその顔をずっと見ていたいと思ったーー。
善からのたくさんの愛を受け止めたいと思った。