無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。
「誰? なんでここにいんの?」
「あぁ、そうだよな。そっちは学校1のイケメンで有名だから俺は知ってるけど、そっちは俺のことは知らないよな」
「いいから質問に答えてくれない?」
「俺は秦真之介。きみと若菜と同じ学校に通ってる」
「え……⁉︎ 同じ学校……⁉︎」
「あ、やっと反応してくれたね」
信じたくない言葉にさすがに反応せざるを得なかった。
秦くんは2年6組で、理系を専攻しているらしい。
塾がいっしょというだけでこの世の終わりのような気分だったのに、気づかないうちに同じ高校に通っていたなんて……。
ショックを通り越して……悲しい。
それを知らないのは私だけで、秦くんは知っているということもまた心を沈ませる。