無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。
秦くんはA組で教室の階が3階にある。
理系を専攻している人はA、B組で、文系を専攻している人はC、D、E、F組で2階。
好きな授業を選べる選択科目も理系と文系ではいっしょになることがないため、ほとんど関わりがない。
私は秦くんがいることに気づかず学校生活を送っていた。
どうして秦くんは私が学校いっしょなことを知っているんだろう。
たまたま学校で見かけたからとか……?
「で、凛李はこいつのこと知ってるの?」
ごもっともな質問を善に投げかけられた私は、さすがにうそを貫きとおすわけにもいかず……秦くんのことを「小学校の同級生」と説明した。
間違ってはいない。
うそをついたわけじゃない。
「それで、どうして柊木が若菜の家から出てきたわけ?」
今度は秦くんが鋭くつっこんできた。
どうしようどうしようーー。
こういう場合、なんて言うのが自然なんだろう。
付き合ってることはもちろんのこと、いっしょに住んでることもバレたら大変だ。
脳みそをフル回転させて言い訳を考えている私とは裏腹に……。
「一緒に住ん……っ」
ここにきてマイペースな部分が全開に出てる善がすべてを言う前に、私は善の口を手で封じた。