無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。
「いとこなの! 親戚が今集まってて、それで善も家に来てるの!」
「柊木と若菜っていとこなの?」
「そう!私のお父さんの弟の子ども! ね?」
思いっきり目を見開いて"だよね?"と善に圧力をかけた。
さすがになにかを悟ったのか、素直にうなずく善。
「ということで、さようならっ」
これ以上秦くんといたらいろんな意味で危険だと思い、私は善を無理やり引っ張り家の中へと引き連れた。
逃げたい気持ちが強かったようで、自然と玄関のカギをガチャッと思いっきり閉めた。
「誰がいとこだって?」
めずらしく眉間にシワを寄せて不機嫌な様子の善。
あれ?
付き合ってることを隠すのは嫌がってなかったのにどうして機嫌が悪いんだろう。
「あそこで一緒に住んでるなんて言ったら誤解されるでしょ?」
「誤解?」
「付き合ってるどころか、同居してるなんてウワサが広まったら、私今までみたいな学校生活送れないと思う」
「それが理由?」
「え? どういうこと?」