無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。
それ以外にわざわざこんなうそをつく理由なんてない。
本当は私だってこの世のすべての人に善と付き合ってることを教えたいくらいだ。
しかし、善はなにやら勘違いをしているようで……。
「あいつに俺と付き合ってるってことバレたくないんじゃないの?」
善はそう冷たく言い放ち、玄関の扉を開けようとする。
「待って、それってどういう……」
「ごめん、ヤキモチ妬いた」
「……え?」
「じゃ、バイト行ってくる」
「今行ったら秦くんに会うかもしれない。もうちょっとだけ待ってない……?」
「遅れたらどうすんの」
「え……」
善は一瞬考え込む私の唇に一瞬だけ触れ、「責任、とれねぇだろ?」と意地悪く笑う。
呆然とする私を残し善はバイトへと行ってしまった。