無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。
1人残された私は、自分の部屋のベッドの上に座り、善の言葉をひたすら頭の中で繰り返していた。
"ごめん、やきもち妬いた"
……善が、秦くんにやきもちを……?
まさか、私が元々好きだったことがバレたとか?
いやいや、それはないだろうけど、誰よりもかっこよくてモテる善がこうしてあからさまにやきもちを妬くなんて……。
あまりのうれしさに口角がなかなか下がらず、次第に口の周りが痛くなってきた。
だけど、私が秦くんだけに付き合ってることがバレたくないと思ってるところは全力で否定したい。
むしろ、秦くんにはこんな地味な私にもこんな素敵な彼氏ができましたって声を大にして言いたい。
ーーそれができない弱虫な自分がすごくいやだ。
お風呂から出てベッドに寝転び再び今日のことを考えていた。
考えたってどうにかなるわけではないのに。
そのときちょうど、となりの善の部屋の扉が開く音がしたので、善がバイトから帰ってきたんだとわかった。
私は優しく扉をノックする。