無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。
「どうぞー」と、少しかすれたような善の声が聞こえ、私はゆっくりと扉を開けた。
善はベッドに横たわっていたようで、私が入ったのを確認してベッドに座ったまま上半身だけ起き上がった。
「お疲れさま。バイト忙しかったの?」
「うん。今日はいつもより混んでて少し疲れた。でも、なんでわかったの?」
「声が少しかすれてるように聞こえたから……」
私がそう言うと、善はその場で両手を大きく広げた。
どういうことなのかわからずその場で立ち尽くしている私に、善は「来て」とだけ言う。
善の腕の中に吸い込まれるように近づいた私は、立ったまま善に抱きしめられた。
善の顔がちょうど私の胸の下あたりにピタッとくっつき、少しくすぐったい。
「帰れば凛李がいるって思ったからがんばれたんだよ」
「役に立てたならよかった」
「はぁー、マジでマイナスイオン出てるんじゃない?」
「マイナスイオン?」
「凛李の体から出てるよ。癒し効果すごいし」