無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。
「……好き、だよ」
私は善のきれいな薄茶色の瞳を見ながら、虫の鳴き声よりも小さい声でつぶやいた。
これでも絞りに絞ってやっと出た声。
抱きしめられて、下から見上げられて、私の顔に穴が開くのではないかと思うほど見つめられて……。
こんな状況で告白するなんて、恥ずかしい以外の何者でもない……!
私は瞬時にりんごのように真っ赤になったであろう顔を両手でかくした。
「あー……こんな凛李誰にも見せたくないな」
「……私だって見せたくないし、見せることないよ」
「そうしてね。俺以外の前では勉強にしか興味ありませんモードでいてね」
「そうしなくても外では勉強にしか興味ないよ」
「ここではちがうんだ」
「……へ?」
「俺といるときは、俺にしか興味ありませんモードってこと?」
「さ、さぁ……」
「俺は学校でもバイトでも凛李のことばっかり考えてるよ」