無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。
ポツリとつぶやく善。
恥ずかしがることなくサラッと甘い言葉を言ってしまうところ、私も好きだ。
死んでも言わないけど……。
だって、ほら。
私は好きだって言っても言われても簡単に照れてしまうんだもの。
さっきのように手で顔を隠そうと思ったけど、善に両手をつかまれているため隠せない。
「凛李ってすぐ照れるよな」
「……きっと一生慣れないと思う」
「ちょっとは慣れてもらわないと……って思ったけど、この先も照れる凛李を想像したらかわいかったからこのままでいいよ」
私は顔を隠せない代わりに顔を横に向ける。
……それなのに、私への視線をすごく感じる。
善もなにも話さないため無言が続く。
「バイトで疲れたでしょ? お風呂空いてると思うからゆっくり休んできなよ……」
私は無言に耐え切れずそう口にし、善を見ることなく扉へ向かって歩いた。
「まだ行かないで」
善の甘い声に呼吸が浅くなる。