無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。
ーーなんて考えていたら、すぐに唇は離れた。
新しい空気をやっと肺の中に取り込める。
自分でもおどろくほど長く息を止めていたみたいで、「スーッ」と音が聞こえるほど強く酸素を吸い込んだ。
家の中でもキスならしていいよってたしかに言った。
けど、キスの中にこんなエッチなキスがあるなんて思わなかった。
たしかにはじめてだよ。
キスという行為自体、善から教えてもらったんだもの。
だ、と、し、て、も!
こんな、こんな、恥ずかしいものをいきなりするなんて……。
それに加えてベッドにいるから、大人の階段を上るようなことをするんだと思って焦ったんだよ?
「苦しかった? 大丈夫?」
私の目線に合わせ、顔を覗き込んでくる善。
発する言葉は心配しているけど、上唇を噛んでいるからニヤニヤを抑えているのが見え見え。
「こんなキスするなんて、聞いてない……」
「だって、したかったから」
「私にはハードルが高すぎるんだけど……」
「……ごめんね」
「え?」