無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。

冬期講習前半の最終日の28日。
めげずに話しかけてくる秦くんと、無視を続ける私。

罪悪感も抱かないほど、本当にしつこい。
どうしてこんな人を好きだったのか、過去の自分に問いたい。
秦くんが輝いて見えていたんだろうな……あのときは。



「お正月はどこか行くの? 近所の神社に初詣行く? もしかしたらそこで会うかもしれないよね」

「……」

「あれ? 柊木?」



塾を出たところに、ちょうど善が立っていた。
それを見ておどろく秦くん。

ちょ……っ、善どうしているの……⁉︎
あ、もしかして、今日ってちょうどバイトが終わるのと塾が終わる時間がいっしょな日⁉︎

たしかに時間がかぶったらいっしょに帰ろうって言ってたけど、それは秦くんがいない前提の話であって……。
そのことについてちゃんと話し合っておかなかった自分を心底恨んだ。

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