無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。

「柊木って本当にかっこいいよなぁ。男の俺からしても惚れそう」

「男に言われてもうれしくない」

「女には耳が痛くなるくらい言われてるんだろ? やっぱり今までたくさん遊んできた感じなの? 柊木だったら選び放題だろ?」



秦くんは頭が良くてプライドが高いイメージ。
友達も多くて、見た目も好青年だからモテないはずはない。

そんな秦くんが善と親しくなろうとしているはずがない。
きっとなにかを企んでいるにちがいない。



「俺たちとはちがう世界に生きてる感じするよなぁ」

「……」

「毎日楽しいことばっかりで青春を謳歌してるんだろ? うらやましいー」



基本的に他人に興味がない善は秦くんがどんなにあおってきても無視をした。
このときばかりは、”家に着くまではずっと無視をしてて!”と心の中で強く願った。

電車に乗っても善のことをからかい続ける秦くん。
善がいつ怒るんじゃないかと終始冷や冷やしていた。
……しかし、善は怒るどころか、顔色一つ変えない。

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