無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。
「秦くんがいるかもしれないのに……?」
「そりゃあ、めちゃくちゃいやだよ。でも、凛李はそこでもっと勉強したいんだろ? だったらそれが答えじゃん。もうあいつに人生を左右されることなんてないんだよ。凛李の好きなように生きなきゃ」
「……私の、好きに……?」
「うん。それにあいつが変なことしようもんなら俺が黙ってないから」
「ふふ、ありがとう」
”もうあいつに人生を左右されることなんてないんだよ。凛李の好きなように生きなきゃ”
ゆるぎないまっすぐな瞳と力強い声。
そんな善から出たこの言葉を……私は宝物として心の引き出しに大切に入れておく。
これからなにかいやなことがあっても、この言葉を思い出してがんばろう。
無気力で、いろんなものに対して冷めていそうな善だけれど……そんなことはない。
しっかりと自分の意見を持っている。