無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。

私は体を起こし、ソファーにきちんと座り直す。
しかし、目の前の光景にびっくりしてしまい、「ぎゃ!」と私らしくない大きい声が出てしまった。

ソファの前にあるローテーブルを囲むように瑠月と座っていたのは、久しぶりに会う刀夜くん。
いるとは思ってない人が突然視界に現れると人ってこんなにおどろくものなんだと、このときはじめて知った……。



「善とすれ違い生活してるんだって?」

「うん……でも朝は一応会えてるからね」

「朝だけでしょ⁉︎ しかも、みんなで朝ごはん食べてるとき」

「そうだけど、なんで?」

「なんでって、イチャイチャラブラブできないじゃん。寂しくないの?」



刀夜くんにも心配され、瑠月にはさらに追い打ちをかけられる。

……冬休みが明けて、2週間が経った。
正直、こんなに時間が合わないとは思っていなかった。
塾とバイトが終わる時間が同じならいっしょに帰ってきたいところだったけど、秦くんがいる手前そんなにしょっちゅう迎えに来られたらさすがに怪しいだろうという結論になり、まだいっしょには帰っていない。

お互いに疲れてるからか、帰ってきたらご飯を食べてお風呂に入ってすぐに寝るというルーティーンができてしまい、部屋に押しかけることもできない。

< 226 / 390 >

この作品をシェア

pagetop