無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。

……けど、善は私がこんなに秦くんといっしょにいることを知って、どう思ったんだろう。

呆れてしまったかな。
私のこと、きらいになったかな……。



「善は"俺が知ってるやつだから大丈夫"って言ってたけど、顔には大丈夫じゃないって書いてあったんだよ」

「……そうだったんだね。瑠月と刀夜くんにまで心配かけさせちゃってごめんね」

「こういうときは、とにかく会って話したほうがいい。あんなに他人に興味持たない善のやつが、凛李ちゃんのことになると目の色変えて話し始めるから」

「善が?」

「そうだよ。そのくらい凛李ちゃんのこと好きなんだと思う。だから……この関係を大切にしてやってほしい」



私は刀夜くんと瑠月に背中を押された。
そのまま、気づいたら家を飛び出していたーー。

まだまだ寒い1月の夜。
もうすぐ善のバイトが終わる時間。

塾以外の門限は基本的に夜の8時。
今はすでに9時半を過ぎている。

だけど、このときの私にとってお母さんに怒られるかもしれないという恐怖は一切頭の中になかった。

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