無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。
「ていうかさ、柊木に彼女がいるなんてわかったら学校中が大騒ぎだよね」
「なにが言いたいの?」
「柊木を好きな女子たちが黙ってないんじゃないかなぁと思ってさ」
「バラしたかったらバラしていいよ」
私がすぐにそう返事をすると、善は焦ったように「凛李?」と顔をのぞきこんできた。
「もう大丈夫。私、覚悟できたから」と安心させるように言うと、善は私の強い意志をわかってくれたのか、それ以上はなにも言わなかった。
「いじめられるかもよ?」
「別に大丈夫」
「今までどおりの学校生活は送れないかもよ?」
「そんなことわかってる。でも、覚悟できたから。私たちが付き合ってること言いたいなら言えば?」
秦くんは嫌な笑みを浮かべたあと……「どうなっても知らないよ」と一言だけ残してその場から去っていった。