無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。
……すると、善は紅茶を持っていた私の手の上に自分の手を重ね。自然な流れで顔を近づけてきた。
反射的に目をつぶる私の唇に、そっと善の唇が触れる。
触れるだけですぐに唇は離れ……顔の距離が5cmくらいのところで、善に「俺も凛李の彼氏だってずっと言いたかった」と言われた。
善の吐息がかかり……心臓の音が善に聞こえてしまうのではないかとヒヤヒヤした。
この人は本当にどんな状況でもドキドキさせてくるな……。
「凛李が覚悟して決めたことなんだから、あとは俺が守るよ」
「大丈夫だよ。ある程度のことは予想してるから、自分でがんばって対処できると思う」
「なんでそういうこと言うの」
顔は離れたものの、善は拗ねたようにこちらを凝視してくる。
「だって、なんでもかんでも善に守ってもらってばかりいたら善の負担ばかり大きくなりそうでしょ……」
「負担じゃない。守るのは当たり前のことだから」
「……で、でも……」
「凛李が1ミリも傷かないようにする。ていうか、俺がそうしたいんだよ」
「うん……じゃあ、お願いします……」