無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。
「そろそろ帰ろうか」
「うん」
私たちは立ち上がり、とりあえず公園を出た。
もう当たりは暗くて、歩いている人も少ない。
外を歩くときはいつも少し離れて歩くんだけどーー今日は、自然と私の手が伸びたのだ。
指と指がぶつかる。
私はそのまま善の手をにぎった。
善の体温が手のひらから伝わり、自分でつないでおいて恥ずかしくなってきた。
でも、なにも考えずにただこのときに手をつなぎたかった。
善の手に触れていたかった……。
突然のできごとに、善は目を丸くしたまま私を見下ろした。
そのとき、ちょうど冷たい冬の風が吹いて善の前髪をフワッとなびかせた。
髪のすき間から見える透き通った瞳が私をまっすぐと見つめていて、このまま時が止まってしまえばいいのにと思ってしまった。